-幾何の世界と対称性-
玉城教授記念学術講演会について
玉城嘉十郎先生は京都大学理学部において理論物理学を講じられ、在職中53歳の若さでご他界されましたが、ご他界後30年に当たり、先生のご意志に基づいて、ご遺族より奨学のために多額のご寄付を頂き、先生を記念して毎年公開の学術講演会を開くことにいたしました。第1回は1969年秋、以後49年、回を重ねること今回で57回に達しました。テーマは必ずしも既存の専門にとらわれず、明日の学問への展望をひらくものをと心がけて選ばれています。
この玉城記念講演会は、専門の研究者だけでなく学生諸君の参加も多く、またもとより公開でありますので、少数ながら熱心な一般聴衆の方々にも好評を博しております。
日時
2019年1月18日(金曜日)15時00分~17時15分
場所
京都大学 益川ホール・北部総合教育研究棟1階
市バス「京大農学部前」「北白川」下車 北部構内
⇒アクセスマップ(建物配置図:13番)
講演プログラム
「⾮ユークリッド幾何の世界」
京都大学大学院理学研究科 藤原 耕⼆ 教授
15時05分~16時05分
⾮ユークリッド幾何という⾔葉には何か魅惑的な響きがある。⾮ユークリッド幾何とは「平⾏線の公理」が成り⽴たない幾何学という意味である。そんな幾何学が存在するのか、古代ギリシャ以来2000年もの間数学者は悩んでいた。ガウスはその存在に気が付いていたが公表を控えていたという逸話も残っている。
私の専⾨は「双曲幾何」で、これは⾮ユークリッド幾何の⼀つだが、ミステリアスというより便利なものである。この講演では、双曲空間の中ではどんな感じなのか、双曲幾何で何かできるかなどについてお話ししたいと思う。
「代数曲⾯と対称性ーK3曲⾯と多⾯体を中⼼にしてー」
京都大学数理解析研究所 向井 茂 教授
16時10分~17時10分
パッポスやパスカル、デザルグの定理のように⻑さや⾓度を問題とせず、かと⾔って、トポロジーのように柔らかくもない諸命題の体系があり、射影幾何学と呼ばれている。これの⼟俵となっているのが射影平⾯であり、代数曲⾯の中で最も基本的なものである。ここから爆発や爆縮という操作を繰り返してえられるものを有理的と呼ぶが、そうでない代数曲⾯の中にK3曲⾯、エンリケス曲⾯と呼ばれるものがある。これらが最も⾝近に感じられるのは、有理曲⾯を⾯とする半正則多⾯体への退化であろう。K3やエンリケス曲⾯の有限対称性はMathieu群と呼ばれる散在型有限単純群と密接に関係する。また、リーチ格⼦という特別な2次形式に関係するグラフやロバチェフスキー空間内の多⾯体を⽤いて、無限対称性が記述できることもある。代数幾何に現れる対称性の研究の⼀端を多⾯体に絡めて紹介したい。
対象
学部生・大学院生・教員・一般
聴講は無料、お申し込みは不要です。
問い合わせ先
〒606-8502 京都市左京区北白川追分町
京都大学大学院理学研究科 社会交流室
TEL:075-762-1345 FAX:075-762-1346
E-mail:mail*cr.sci.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)
URL:http://cr.sci.kyoto-u.ac.jp
主催
京都大学理学部、財団法人湯川記念財団